童話は二度読まれる。

淋しいおさかな
・童話は二度読まれる。

今から40年以上前、NHKで「おはなしこんにちは」という番組がありました。
もちろん子供向けの番組です。

先日偶然この中のひとつの「お話」との邂逅がありました。「お星さまの街」という童話です。
私が子供のころ記憶していたきれいなお姉さんが、懐かしいお話を朗読しています。このきれいなお姉さんが若いころの田島令子さんであることもネットで知りました。

「おはなしこんにちは」のメインライターのひとりが劇作家の別役実さんでした。私が今も記憶に残している、悲しく淋しく、深い物語は彼の書いたものでした。

童話は二度読まれる。
子供の時、そして大人になって再読したときに、その童話の本当の意味がわかります。「星の王子様」がそうであったように。

童話は子供のものだけではありません。大人になった後、ふっと息抜きがしたいときに、子供のころに読んだ童話を是非また読み返してみて下さい。必ず新しい発見があるはずです。大人である"いま"自分自身の助けになる物語も必ずあるはずです。

大好きな別役実さんの童話には「猫貸し屋」や「星を売る人の話」や「黒牛印のソースを売るセールスマンの話」はありますが、残念ながら「占い屋」のお話はありません。

別役実さんをリスペクトしてオマージュを捧げる意味で「占い屋」のお話を書いてみました。音楽で例えて言えば、彼とまったくの同じコード進行で.......。別役さんならきっとこんな占い屋のお話を書くに違いないと思います。


うらない屋

その街の商店街の一番奥まった角に小さなうらない屋があります。
夕暮れになると小さな明かりが灯り、扉の前に看板が立てかけられると開店です。その街の人は誰でもうらない屋を知っていましたから、明かりが灯っただけでお店が開いたことがわかりました。

うらない屋とはお客さんに未来を少しだけおしえたり、気をつけなくてはいけないことを伝えたりして、そのかわりにほんの少しお金を頂くという商売です。

夕方の涼しい風が吹き始めると、どこからかうらない屋のおじさんがやって来てお店を開けます。街の人は「ああ、うらない屋が開いたな、もうそんな時間なのか…」うらない屋が開いて夕方が来ることを知るのです。

さらに外が暗くなると、お店の入口にも明かりが灯ります。うらない屋のおじさんが窓の奥で小さな明かりの前に座っている姿を見ると、誰でもみんなひどく淋しい気持ちになるのです。でもおじさんにお金を払ってお話をしようという人はあまりいませんでした。

「これは何?」
女の子がお母さんに手を引かれてうらない屋の看板の前で立ち止まります。
「これはうらない屋といってね、お金を払うと少し先のことや、気をつけることをおしえてくれるのよ。お母さんが若いころ一度やってもらったの。うらないをしてみたい?」
女の子はうらないをしたことがありませんから、少し怖い気がしました。でもけっきょくうらないをしてもらうことにしました。

お母さんがお金を払うと、おじさんは女の子にたくさんの石を持たせます。
「その石を全部このお皿の中に落としてごらん。そしてその石の上に手のひらをのせて目をつむってみて。」
女の子は言われた通りに、たくさんの模様が描かれたお皿の上に石を落とすと、手のひらをのせて目を閉じました。
「いま何か聞こえただろう。神様がこんばんはって言ったんだよ。もっとよく目をつむって、もっと聞こえるから。」

石から女の子の手のひらへかすかに温かさが伝わってきます。
「ほら、またお話を始めたよ。お嬢さんあなたはやさしい子です。きっとしあわせになれますよ。」
女の子も確かにそう言われた気がしました。目を開くと石の場所はそのままですが、手のひらからピリピリと伝わってきたものが神様の言葉だったと信じることができたのです。
「さようなら。どうもありがとう。」
「さようなら。お嬢さんまた来てくださいね。神様はお嬢さんとお話ができて喜んでいますよ。神様は良い子とはお話をしたがるのです。」

でもたいていの女の子はもう二度とやってくることはありません。女の子はもう一度うらないをしてみたいと思うかも知れませんが、お父さんが許してくれないのです。その街の男の人は子供がうらない屋とお話をするのをあまり良いことだとは思っていなかったのです。

夜が更けて商店街を歩く人がいなくなると、うらない屋は店じまいをします。うらない屋の灯りが消えるころ、街の人は眠りの準備に入るのです。
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ある晩のことです。お店を開いたばかりのおじさんのところへ、若い女の人がやってきました。
「こんばんは」
「こんばんは。何をうらないましょうか?」
「いいえ、うらないに来たのではないのです。私はあなたに雇ってもらおうと思って来ました」
「雇う?うらない屋をやりたいのですか?」
「そうです」
おじさんは驚いてしばらく女の人の顔を見つめていました。今までそんな申し出を受けたことがなかったからです。
「いったいどういうわけなのですか?」
「私は何をやってもだめなんです。仕事も恋愛も。そして今日、私が子供のころ神様とここでお話をしたことを思い出して来ました。神様は私はしあわせになると話してくれたんです」
「昔ここで神様とお話をしたことがあるのだね。神様はしあわせになると話したのだね。いいとも雇ってあげよう。ここでうらない屋をやるんだ。そうしたらきっとしあわせになれるだろう」

その晩からうらない屋は二人になりました。
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おじさんは若いうらない屋志願の女の人へ、カードの読み方や石と友達になる方法を教えました。そうです、カードも石も友達になってしまえば忠実に言うことを聞いてくれるのです。そのうちにどんな意味のカードが出るのか、石がどのような動きをするのかを"うらなう"前に分かってきます。女の人はすぐにおぼえましたが、なかなか未来を読んだり、触れずに石を動かしたりできませんでした。お客さんに注意しなくてはいけないことも見えてきません。

おじさんも一日に一人か二人しかお客さんが来ないのに、彼女のところへは誰も来ません。おじさん一人でやっと暮らしていたところに、一人増えたわけですから大変です。若い女の人はおじさんが店番をしている間、夕暮れの街で人々へ声をかけに行きました。

「こんばんは、うらない屋です。未来を見ていきませんか?」
「今日はいいよ。昔うらなってもらったことがあったけれどね、今そういう気分じゃないんだ」
「うらない屋です。なにか迷っていることがありますか?」
「忙しくてね。迷っている暇もないんだ。」

お店に戻ると、おじさんが石に手を当ててなにかぶつぶつとつぶやいています。
「あ、帰ってきたのだね。神様とお話していたんだよ。神様はいまにきっと毎日忙しくなると話していたよ」
「今日お客さんは一人も来ません。街の人はみんなうらない屋と話さないと言ってましたよ」
「そんな日もあるさ。この仕事はそういうものなんだよ。でも大丈夫、神様はそのうちに忙しくなると話していたから」

おじさんが風邪をひいてお休みしたとき、女の人はにんぎょう屋さんへお仕事を探しにいきました。
「こんにちは。人形を作りたいのですが雇ってもらえないでしょうか?手先は器用なんです」
「今は何をやっているのかね?えっ、うらない屋。それはダメだねぇ。あれは暗くて淋しそうな仕事だからね。うらない屋を辞めたら、ちょうど人形のお洋服を作る娘が一人足りないので雇っても構わないよ」
「うらない屋を辞めるわけにはいきません。」
「それでは雇えないねぇ」
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とぼとぼと帰るとお店には誰もいません。女の人はおじさんがいつもしているように、手のひらを石にあてて神様に問いかけてみました。
「にんぎょう屋さんには雇ってもらえなかったの。これから私はどうやっていけばいいのかしら」

「シアワセニナルヨ、イマニキットシアワセニナレルヨ」
神様の言葉が石から女の人の手を伝って、胸の中によみがえりました。
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「聞こえただろう」
いつの間にか帰っていたおじさんが後ろに立っていました。
「ようやく石と友達になれたね。それは神様からの言葉なんだよ。これからは一人で立派にうらない屋をやっていけるよ」

あくる日、おじさんは新しいカードと石と、小さなお店を借りることのできるお金を若い女の人に渡しました。
「これでほかの街へ行って"うらない屋"をおやり。もう石とは話せるから大丈夫。どこの街にも未来を知りたい人や、迷っている人はいるからね。贅沢はできないけれど、一人で食べてゆくには充分だし、それに神様が言うようにしあわせになれるから」

夕方になって若い女の人は大きなカバンを一つ持って、新しい街へ旅立ちました。
街はずれまで見送ってきたおじさんが手を振っています。時折女の人は振り返りながら、だんだんと小さくなっていきました。おじさんはいつまでもいつまでも手を振っていました。



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Tag:マンガ・童話  Trackback:0 comment:1 

Comment

sai URL|いい話です。
#- 2014.10.13 Mon16:05
なんかいい話ですね~!
染み込む感じがしてます。
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プロフィール

バルバラ・レピスト

Author:バルバラ・レピスト
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タロット、ルーン、ダウジング等による占い+セラピーで総合的に問題を解決いたします。霊的な問題もご相談下さい。TwitterID:UranaiBarbara

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